日本の伝統的な建物である「古民家」。広々とした空間、ゆったり時の流れる縁側、美しい格子のデザインなど、その魅力は数えきれません。
近年の古民家ブームで、店舗、宿泊施設などに再活用されることが多くなり、日本の伝統建築は再評価されつつあります。
しかし「住居」として見た場合、まだいろいろな不安がつきまといます。
「古民家は寒いってよく聞くけど…」
「部屋が暗いんじゃない?」
「古いし、瓦屋根だし、地震に弱そう」
そういった疑問について、古民家リノベーションを得意とされる工務店・設計事務所のインタビューリンクをご紹介します。古民家に詳しい方々のお話を読めば、「暗い」「寒い」「危ない」といった従来の疑問に答えが見つかるでしょう。
(リンクはすべて古民家ポータルサイト「クロニカ」に遷移します)
神奈川県鎌倉市にある「建築再生工房株式会社タケウチ」。代表の竹内さんは元々公共事業を手がけるゼネコンの施工マンでした。そんな竹内さんがなぜ住宅、古民家という真逆の世界に向かっていったのか。その足取りを辿ってみると、施工マンならではの経験や記憶を通じて、竹内さんの「再生」への思いが浮かび上がってきます。
【内容】
スクラップ&ビルドから「再生」へ / 建物は生き物 / 腹をくくれるやつしかできない / いいものを作ろう / 学んだことを伝えたい / 住み継げる家
千葉県南房総市の大五郎建設。代表の石井正明さんは代々続く宮大工の9代目棟梁です。その途方もない歴史を背負い、現代の日本で伝統的な住宅を作り続けるためには、並々ならぬ創意工夫が必要でした。今回は石井さんとそのご子息である良次さんのお二人に、文化と技術、そして歴史を継いでいくことについて話して頂きました。
【内容】
空気の話 / 200万円の価値 / 25年かけた断熱工法 / 「継いでくれ」はなかった / 継承の難しさ / 共同作業でつくる家
湘南にて”コーポラティブハウス”という住み方を提案する、くらす株式会社代表の福田さん。「暮らす湘南」というサイトを立ち上げ、新しい住まいづくりを考え続けてきました。不動産業界が今どのような状況にあるのか。そしてコーポラティブハウスの未来とは。福田さんの現在進行形の思いを語って頂きました。
【内容】
東京から湘南へ / 土地をシェアする暮らし / 震災とコミュニティ / 女性のデュアルライフ / 鎌倉山の古民家プロジェクト / 不動産業界の過渡期 / 暮らしを売る
富山県射水市にある笹川建築は腕利きの大工が集まる大工集団です。その代表、笹川さんにお話頂いたのは、大工たちをまとめる二代目としての気概と、「木」というものの丁寧な解説です。これから家を触ろうとする人たちはもちろん、大工さんを目指す人たちにも読んでもらいたい、大工と家と木の、そして人間の「心」の話です。
【内容】
富山の古民家 / 仕事にウソはつけない / 棟梁が求められるもの / 手刻みとプレカットの違い / 自然乾燥材と人工乾燥材 / クレーマーと大工 / 手入れされずに荒れる山 / みんなが集まる「いっぽく場」
三重県四日市市にある株式会社アート・宙(そら)。代表の石田さんは「うちにはNOはありません」と話します。そんなことを言ってしまえるのは、設計事務所、大手ハウスメーカーを経て独立された石田さんの、知識と経験に裏打ちされた実力があればこそ。古材を使った再築も意欲的に行う石田さんのポリシーを語って頂きました。
【内容】
ヒノキの香りのモデルハウス / 熊野の木を使う / 和とモダン / 20年の営業職からの独立 / NOのない家 / ハウスメーカーの話 / 何でもできる
三重県多気郡、有限会社山路工務店の四代目である小林さんは、その穏やかな物腰からは想像もつかないほど筋金入りの精神を持ち、実際に行動する人でした。古民家に住み、田んぼで米を育て、土鍋でご飯を炊く。ほんの数十年前は当たり前だった「自然のサイクル」の中で生きることを、もう一度私たちに思い出せてくれるお話です。
【内容】
四代目の継承 / 築五年の自宅を売却 / 古民家暮らしのかたち / 機械のいらない生活 / 人に見せて欲しい / 昆虫が戻ってくる田んぼ / 最後の工事の話
静岡県島田市にあるWAKURASU・富田工務店代表の富田さんは、古民家再生はもちろん古民家探しからお客さんをサポートします。そのざっくばらんなお人柄から語られる古民家という選択肢には、技術屋としての理論に裏打ちされた理屈がはっきりと見えます。イメージではなく理屈で古民家を選んだプロの言葉、ぜひご一読を。
【内容】
自分でつくったキッチン / 縁側の記憶 / 技術屋の理屈がある / 「黒壁の家」の意義 / 村に誇りを持ってほしい / 住宅性能表示への疑問 / 間違った道は行ってない
三重県四日市市にあるトータルアシストプラン株式会社が得意とするのは数寄屋造り。勉強嫌いの子供だったという代表の堤さんは、まるで大きな力で呼び寄せられたかのように、自然と数寄屋へ繋がる道のりを歩んできました。幼少体験からモダニズムのデザインまで幅広いお話の中、その芯に根ざすのは技術職としての矜恃です。
【内容】
自分の家を設計できる設計士 / 設計事務所と工務店 / 数寄屋には「型」がある / 貴族文化とモダニズム / 三重県の古民家 / 五人家族で十五坪 / 導かれた出会い
愛知県新城市、豊橋市、豊川市にそれぞれオフィスを構える戸田工務店。今回は社長の戸田桂一郎さんと、会長である戸田由信さんのお二方にお話を伺いました。全国の古民家再生事業が抱える問題を通じて見えてくる、知られざる日本の住宅史と現状。ぜひ最後まで読んでもらいたいインタビューです。
【内容】
工務店も大工も知らない / 日本のコンプレックス / 作り手の「良心」の在りか / 人間の手足に触れてきたもの / 業者側の倫理 / 継いでいける世代の使命
京都府亀岡市にある松栄住宅代表の畑さんは、古材を使った新民家という住宅を推進されています。その考えに至るまでには、左官の世界、不動産業界、ドームハウスなど様々な経験がありました。常に答えを探し続け、60歳を過ぎて新しい世界に飛び込んでいった畑さんの、多くの体験と思考の軌跡をここにご紹介します。
【内容】
不動産業界に飛び込む / 家をつくりたい / 日本初の木造ドームハウス / 何のために生まれてきたのか / 京町家の改修 / 「新民家」という選択肢 / 繋げていって欲しい
京都府亀岡市、畑工務店代表の畑さんは手刻みができる大工であり、シックハウスの研究者であり、介護保険事業も手がけていたりと、いろんな顔を持つ方です。多岐にわたるお話をお伺いして感じたのは、その底の方に流れる「お客さんのためになることをしたい」という気持ち。畑さんが辿り着いた答えは「本物の家づくり」でした。
【内容】
大工は揺れ方を知っている / 消えた「家の個性」 / 不動産屋が大工を選ぶ / シックハウスの研究 / 介護保険の矛盾 / 一階の雨漏りの話 / 図面に無い仕事 / 自然の気持ちよさ / 木を舐める
奈良県大和郡山市。奥様のシックハウスを契機に自然素材の家づくりに舵を切り、古民家再生を手がけるようになった代表の中西さんへのインタビューは、まるで古民家のような雰囲気を持つモデルハウス『和みの家』にて行われました。寒さの話、職人の話、住宅産業や断熱の話。多岐にわたってお届けします。
【内容】
義父の仕事を継ぐ / 奈良の古民家事情 / 寒さの経験と薪ストーブ / シックハウスから古民家へ / ふっと気が抜けた / 中古物件の問題 / 断熱の実験
奈良県桜井市、「川西建築」代表の川西さん。
「天職」という言葉がここまで当てはまる方も少ないんじゃないでしょうか。ものづくりが好きで、大工に憧れ、まっすぐにこの道を歩んでこられました。そして現在、川西さんの目指す家とは。
【内容】
親方に教わった手刻み / 古民家は頭をたくさん使う / 職人の仕事と見積のこと / 将来の夢は「大工さん」 / 人が集まる家
24で一人前の棟梁として独立後、伝統工法の家を数多く手がけてきた大森大工代表の大森さん。立派な古民家が建ち並ぶここ滋賀県長浜市で鍛え上げられた、いわば古民家のスペシャリストです。そんな大森さんにたっぷりと語って頂きました。
【内容】
丁稚奉公、そして独立 / 奥様との二人三脚 / 守り続けた伝統工法 / 地元の素材でつくられた家
福岡県鞍手郡にあるやまぐち建設代表の山口さんは、昔ながらの技で古民家を直せる本物の大工さんです。木に詳しい大工職人でありながら「お客さんに寄り添いたい」と繰り返す、職人の頑固さや気難しさとは正反対の山口さん。無垢材の話、これまでの半生、古民家の直し方など、多岐にわたってその思いを語って頂きました。
【内容】
何か違うと思った / 独立の苦労 / 古民家を古民家らしく / ずっと勉強 / 無垢材の扱い方 / 全然違う家の寿命 / 家は人間の「巣」
イエノコト株式会社の代表であり、一般社団法人全国古民家再生協会の副理事長、一般社団法人住教育推進機構の九州地区長など数々の肩書きを持つ淀川さん。お話を聞いているうちに立ち上がってきたのは、「家のことを知ってもらい、その人にとって一番いい暮らしを見つけてほしい」という教育者の姿でした。
【内容】
「暮らし」目線で見る家 / プロと素人との距離 / 自分の意見を言ってほしい / 定位置、定量、捨てること / 家と人との距離は近くなる / 女性目線の住教育 / 「家」を売っていない