『住教育』とは住まいの教育です。
単身生活、若い夫婦、大家族や高齢者の一人暮らしに至るまで、様々な住まいのかたちがあります。
ところがその「住まい」について、よく考えたこともなく、自分に本当にふさわしい家が何なのか、これからどんな家に住めばいいか分からないという方もたくさんいるでしょう。
当サイトではそんな方々のために「持ち家」をテーマに、その選び方や、暮らしにおける住まいの大切さを学べるコンテンツをご提供します。
これまであまり深く考えなかった、今住んでいる家のことや、かつて住んでいた家のこと、これから住むだろう家のこと。
そんな「家の話」をしていきます。
どんな世代でも住みやすい家、というのはなかなか存在しません。
若い頃は良くても、高齢になれば不便を感じるようになる。また逆に、若い頃は嫌がっていた家が、気付けばとても心地良くなっている。そんな話は珍しくありません。
若い頃は大勢の友達を呼べる家が良くても、やがて子どもが生まれ、家族中心の暮らしになるかも知れません。いつでも遊びに行けるように駅近のマンションを選んでいても、子どもが生まれると、喧噪を離れた郊外の戸建てがよくなるかも知れません。そしてさらに歳を取ると、今度は再び便利さを求めて駅近のマンションに戻るかも知れません。
そのようにして、人間の生活は一生のうちにいくつかの変化を迎えます。こういった変化をあらかじめ予想して、住まいを選び、作っていくことが大切です。
そのためには今の自分たちの暮らしだけではなく、子どもが成人して家を出ていった後のことや、30年後に階段を上るのも辛くなってきた自分のことを想像しておくと良いでしょう。
住むのはこの街でいいのか? この立地でいいのか? 家はこの間取りで大丈夫なのか?
正解を導き出すのは、あなたの想像力です。
家選び、家づくりをはじめる一番大きなきっかけとなるのは子育てです。20~40代の夫婦であるこの世代は、マイホームを検討する時、家についてはじめて考える経験をします。
どんな家が子育てに相応しいのか?
それはその夫婦の子育ての方法によって変わってきます。
たとえばマンションで育った子どもは、足音を立てずに歩き、公共の場でも騒ぐことが少ないそうです。
それを「社会性を身につけた賢い子」だとプラスに捉えるか、「子どもらしくない」とマイナスに感じるかは人それぞれです。
戸建ての新興住宅地では同世代の家庭も多く、子どもの登下校も一緒になり安心だと思うお母さんもいるでしょう。反対に、ママ友付き合いに参加しなければならず、苦痛だと感じるお母さんもいると思います。
人口の少ない田舎で育つ子どもは、同級生の数が少なく、1学年1クラス。地元の学校の成績は全国平均を下回っているかも知れません。
そのかわり、山があり、川があり、広い庭と広い子ども部屋があり、子どもたちはのびのびと育つかも知れません。
このように、どのように子育てをするかによって、それに相応しい家は決まります。
家を選び、家をつくるというのは、自分たちの「子育て法」を決定するという作業でもあるのです。
住教育の目的は、たくさんの人に「家」について考えてもらい、自分に相応しい住まいを手に入れてもらうことにあります。
現代の住宅社会は「空き家問題」という大きな悩みを抱えています。
それはひとえに、住宅を買う側の消費者に「家の教育」が欠けていたことに他なりません。
宣伝文句につられて買ってしまった、あまりよく考えず建ててしまった、そういうパターンで住まわれる家は、持ち主に知識がないため、メンテナンスもされず、愛着も持たれず、30年もすれば放棄されてしまいます。
今、世の中にはそんな使い捨てのような家が溢れています。
国が推進する住生活基本計画にある通り、人口が減り続けている現代こそ、消費者が家のことを学び、長く継いでいける賢い家づくりをして、これまでのような使い捨ての家を無くしていくことが大切なのです。