日本は木の文化
欧州の石の文化に対して、
日本が木の文化であることは広く知られていることです。
そして中国は土の文化といわれています。
日本には世界最古の木造建築物として
法隆寺が世界遺産になり、木造建築が根づいていました。
しかも日本の古民家の木組みには個性があって、
デザインとして魅力を感じている人も多くいます。
一部は再生されて、新しく生まれ変わっている古民家もあります。
そして古民家再生ではなく、 解体されて建材として流通し始めている材もあります。
なかでも国産材で 60 年を超えた木材を古材と呼ばれています。
これらの木材は、日本に眠る大切な財産のひとつであるはずです。
木材が持っているさまざま特性を知ると、その価値をより理解できます。
たとえば世界遺産である法隆寺のヒノキが、
いまでも強さ保持している話しを聞いたことがある人も多いと思います。
ヒノキは伐採後 200 年の間に乾燥することなどにより強度を増しています。
その後1000年をかけて少しずつ低下し、
建築されて1300年が経つ法隆寺は、
今ちょうど建設当時の強度になっているといわれています。
木材は強度も耐久性も、基本は乾燥させることがいちばんの対処です。
腐食や白蟻の被害も同様に防ぐことができます。
古民家に使われていた古材は、本当に長い時間をかけて自然に乾燥されたものです。
ほぞ穴で組み合わされた木材は、乾燥して収縮することで組み合せが強固になります。
また、乾燥した時の材の変形を抑えるには、
丸太のまま使用することを経験によって知り、
日本の古民家の 屋根裏に多く見受けられます。
これらの材は囲炉裏の煙で燻しながら、乾燥させていきました。
丸太が使われているのには次のようなことが考えられます。
そもそも樹木は、ねじれながら成長しています。
つまり幹の中の繊維は、らせん状になっているのです。
樹種によって その癖は違い、マツは比較的ねじれが強く、スギはねじれが緩やかです。
ところが、樹木が切られた年輪面を見ても、素人目でねじれを見分けることはできません。
同じように板の木目を見てもわか りにくいものです。
ところが乾燥で収縮して起きる干割れは、繊維の方向に沿って現れます。
その干割れが少しずつずれ ているのを見ると、誰にでもねじれていることがわかります。
四角く製材した木材は繊維が切られているので歪みやすく、
丸太のままであれば歪みにくくなります。
燻して乾燥させてゆく屋根裏では
丸太の材を使うのは、まさに先人たちの 知恵の結晶なのです。
投稿者プロフィール
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2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。
現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。
また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。
古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
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