骨太も華奢も両方日本の住文化
今年はお茶室の工事をさせていただくのですが、表千家と裏千家それに武者小路千家など茶道には流派がありますが、ありがたいことに表千家と裏千家をそれぞれさせていただきます。お茶を出す準備をするための水屋(みずや)などは表千家と裏千家では全然違っておりそれを教えていただきながら学ぶだけでも勉強になります。
お茶室もいわば伝統構法、耐震などの考え方は揺れて力を逃す柔構造で自然石の上に柱を建てて土壁で仕上げる建物ですが、古民家とは少し違うと最近は思います。いわゆるイメージする古民家は柱が太くて梁も大きくていかにも頑丈そうな建物、お茶室や京都の町屋などはできるだけ柱も細くしシンプルな美を求める数寄屋(すきや)造り。前者が剛の骨太の骨格を持つのに対して後者は繊細。
両方を知ることでより全体も深く知れる気がします。古民家やお茶室はまさに日本の住文化、加飾を好まずできるだけシンプルさを極めていく建物だと思います。
骨太も華奢も両方後世に伝え残していかなければならないと思います。茶道に一期一会(いちごいちえ)という言葉があります。
一生に一度限りであるという意味で、茶の世界においては、「茶席で会する人は同じでも、今日の機会は一度限りであると心得て、相手に対し誠意を尽くす心構え」なのだそうです。今この時、この場での出会いは、二度とない一度だけのものと大切にして、心を込めて接しましょうという出会いの心得を伝えてくれています。この瞬間は2度とはないから大切にしなければと考えながらお客様と今日も打ち合わせです。
お茶席の掛け軸は禅語が使われることが多く、それぞれの言葉に季節感や人生君が書かれています。掛け軸の意味を教えていただくとそれはこういきたいという人生を考えるきっかけになると思います。
日々是好日(にちにちこれこうにち)
「どんな日も毎日が人生における最良の日である」という意味で、人生、いい時もあれば、悪い時もあるもの。たとえよくないことがあっても、心の持ち方次第。その時の感情や状態を大いに味わって過ごせば、かけがえのない日になる。つまり、「毎日が最上であり、かけがえのない一日である」という意味が込められているそうです。
和敬清寂(わけいせいじゃく)
千利休の茶道精神を凝縮し、もてなしの心を表した茶道の心得が込められている言葉。お互い仲良く(和)敬いあって(敬)、見た目だけでなく心も清らかに(清)何事にも動じない心(寂)を持ちなさいという意味だそうです。
「和」は、調和。すべてに和の精神を持って茶の道をお互いに分かち合い、楽しむこと。
「敬」は、謙虚に人や物事を敬うこと。自らは謙虚に、他人や自然、すべてのことを敬うこと。
「清」は、道具も心も身も清らかなこと。邪念の無い清らかな心や清められた道具や茶室のこと。
「寂」は、静謐な境地、何事にも動じない心のこと。
日々学びです。
投稿者プロフィール
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コミンカニスト・建築士・インテリアコーディネーター・古民家の調査と再築著者。
1967年大阪生まれ。阪神淡路大震災を経験し、復興活動後バイクのツーリングで立寄った愛媛県松山市へ移住。資産価値の落ちない街並みガーデンビレッジ北川原を始め南欧風住宅ヴィンテージホームブランドの住宅建設、伝統的な日本の住まい古民家の保存活動のための資格制度創設や修復のための基準作りなどを行なっている。また消費者が自分に必要とする住まいを選択できる知識の習得を目指し住教育を推進する活動も。
一般社団法人住まい教育推進協会 会長
愛媛インテリアコーディネーター協会 相談役など
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