古民家への偏見

「省エネ基準が義務になったら古民家は無理だ」 という人がいます。 基準をクリアするためには窓を断熱型に、 そして天井、壁、床にそれぞれに断熱施工すれば問題ありません。 土壁で壁でも断熱できます。 古民家の特長である軒の出た縁側のある家は、 パッシブデザインとして素晴らしいものと言えます。 そこに省エネ基準レベルの断熱を施せば、 晴れた日は昼に20℃、朝まで15℃以下にならない温熱環境がつくれます。 古民家と断熱化はとてもよい相関関係をつくることができます。 最低温度が10℃というのは、 ヒートショックへの対応や結露防止など 健康を守る上での最低基準の温度です。 それを確保する省エネ基準もまた最低限と言えます。 消費者のみなさんはもっと室内温度というものに関心を持つべきです。 日本では家に温度計のない家庭がほとんどですが、 例えば部内の最低温度が15℃あれば、 冬布団から出るのが苦ではなくなります。 家づくりの際には、その家で何℃で生活がしたいのか、 そうした判断を本来持つべきです。 「断熱」=「省エネ」 2つの視点を混ぜて考えてしまうと家づくりには混乱が生じます。 省エネの費用対効果だけを考えてしまえば 断熱の意味合いが薄れてしまいます。 「健康に過ごす」という、むしろ住まいのあり方で 最重要の観点にフォーカスを当てれば 「断熱の重要性」が浮上してきます。 エネルギー消費で断熱を考えるのではなく、 温度で断熱を考えることが重要なのです。 今後、改正省エネ基準により、 それぞれに断熱や省エネを謳った家づくりが増えてきます。 断熱と省エネそれぞれの役割を捉え、 適切な判断をしていましょう。 古民家はあったかいですよ]]>

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:住教育,古民家,暮らしの知恵  |    |  2017.09.06

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