匠の技

「獺祭」は大吟醸酒のみで最高級品は720ミリリットルで3万円を超えます。 高額商品であっても品薄で、直販では2カ月待ちの状態です。 米国やフランスなどにも輸出しています。 「旭酒造」(山口県岩国市周東町)は過疎の集落で 酒造りを営む山口県内で4番手の酒蔵でした。 他の酒蔵と同じことをやっていてはジリ貧になる・・・・ そんな経営危機の時(1999年)に杜氏に逃げられたそうです。 酒造りのノウハウが杜氏の頭の中にブラックボックス化されていることに疑問き 桜井社長は酒造りの全行程で詳細なデータを取り 検査室のパソコンに蓄積して分析することで、酒造りの最適解を見つけ出します。 微妙な温度管理や水の追加タイミングなどについてデータを活用して知見を積み上げました。 「ある意味、杜氏は手抜きの天才。 我々は理屈で詰めていくしか道がなかったから、どうしたら良い酒が造れるかを徹底的に追求した」 と桜井社長は話します。 「見える化」です。 結果、品質のばらつきがなくなりました。 杜氏の勘に頼った酒造りでは 年により品質にばらつきが出るが、データで管理された獺祭にはそれがないのです。 品評会に出す酒は、他の酒蔵なら市販品と別に造るんだそうですが 旭酒造は市販のものをそのまま出すといいます。 磨いた米は小分けにして手で洗い 均質に発酵が進むように小型の樽を使うなど 品質に関わるところは手間やコストを惜しみませんが 一つのラインで全商品のビン詰めを行うなど 品質に関わらないところは徹底的に効率化しています。 桜井社長にも悩みがあり、原料となる米・山田錦の不足です。 山田錦は栽培が難しいとされ、農家が敬遠するのだそうです。 そこで 農業向けクラウド「Akisai」 の事業の立ち上げを目指す富士通と協業して Akisaiに蓄積した生育データなどを分析することで生産量を増やし 全量を旭酒造が買い取って山田錦の確保をし始めました。 成長する企業は、常識に捉われてないんですね。 経営者の「現実を直視した決断」でしょうね。 「匠の技」を機械化は私は残念に思いますが・・・・]]>

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:文化・伝統,雑学  |    |  2018.11.10

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