~施工事例からみる住宅の事故クレームを考える~

平成29年3月2日名古屋 住教育セミナー講演録 講師 住宅保証機構 芝 謙一氏 会場      名古屋国際センター 参加人数 19名

私は仕事柄、年間1500件以上の築20年以内住宅事故クレームを見ています。 住宅事故クレームは思ったより多いのです。 だからこそ「消費者は勉強してから家づくりをする」ことが大事だと考えています。 それらの住宅事故クレームから検証してお話ししたいと思います。

事故クレームの第1位は圧倒的に「雨漏り」です。 雨漏りは「屋根・壁の施工ミス」で 軒の出が少ない住宅は事故クレームの危険可能性が高くなります。 軒の出が大きい家「雨漏りのリスクが少なくなる」と考えて正しいと思います。

また、サッシ周りの「雨漏り」事故クレームは手抜き工事から起こります。 基本的な施工手順を守れば事故クレームは起こり難いです。

すなわち「業者さんの現場管理能力」を見る必要があります。 例えば、防水シートと防水テープには相性があり 施工不良が起こる可能性があるのです。 これは消費者にはわかり難いことです。 住宅は高気密・高断熱化で雨漏りが気づき難い時代です。

住宅は、業者さんに任せっぱなしではいけません。 自分の家は自分で守ることが大事です。 ですから住まい手自身が学ぶ「住教育」を大切にして欲しいのです。

最近では「太陽光パネル」の事故クレームが多くなりました。 引渡し後以降の太陽光パネルの設置は事故クレーム率高いのですが、 それは瑕疵保険範囲外となります。

また、結露は事故クレームではないので、瑕疵保険対象になりません。 高気密高断熱仕様で結露は多くなりましたが、それは、住まい方の問題です。

例えばストーブの上にヤカンは結露の原因になります。 こんな簡単なことは自分自身で学んで頂きたいと思います。 デザイン重視で大事なことを忘れてはいけません。 掃除などしないと家は劣化が激しくなるります。 事故クレームを起こさない施工と安心の瑕疵保険をしっかり確認することで 「長持ちする家づくり」をすることができます。

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投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:住教育  |    |  2017.03.18

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