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香川県・丸亀市にあった築320年の古民家横井邸。
カリフォルニアのハンティントン財団が有するハンティントン・ライブラリーに
移築する計画が進行中です。
横井邸は江戸時代の村役人である庄屋の持ち物でした。
1713年に亡くなった横井家7代目の家長によって建てられ
300年もの間ほとんどその外観に手を加えられず保存されてきました。
19代目当主の横井昭さんが
この家屋をハンティントン財団に寄付したのは2016年。
古い歴史を持つ家屋が海を越えるということは、容易ではありません。
まず、木造家屋ゆえに、腐敗やシロアリによる損傷があれば、移築ができない可能性がありました。
また移築を行うには関係する地方自治体や日本政府の承認が必要であり、
いったん解体された家をカリフォルニアで再建築する際に、
アメリカの建築基準で建て替えができるのかも不明という状態でした。
ハンティントン財団がこれら全ての判断を行うには、
まる2年という調査と交渉の時間を要したそうです。
梁や柱は船でハンティントン・ライブラリーまで輸送され、
再建築を行う予定となっています。
また、家屋と共に蔵も移築予定であり
ハンティントン財団は家屋を囲む日本庭園や周囲の様子まで再現するとのこと。
私たち「古民家再生協会」は香川県の山倉支部長を中心にこのプロジェクトを進めています。
移築した横井邸は、順調にいけば2020年秋から2021年の始めごろに公開されるそうです。

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:建築知識  |    |  2019.06.19

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