木造住宅のお話し 7

家を建てるのには、木材という資源は欠かせないものです。
あたり前のようにあって当然のものと考えますが、
木材のことは知らないままにすませてしまうことも多いようです。
現代になって木材の扱い方も意外と進化しています。
そして知るほどに魅力的な木材の秘密に迫ってみました。

ザイロクライシス

また、こうして使われる木材を、自社で森林を所有し育てて、建てている会社は希少です。
中には産地と契約して国産材の普及に努めている企業もありますが、
ほとんどの建設会社は木材の市場から調達しています。

日本は国土の70%が森林で、戦後に植林した木材が育ち資源となっていますが、
木材は世界中に豊かにあるわけでもありません。
今では中国や韓国にも日本の木材は輸出され始めいています。
スギやヒノキは人気樹種のひとつです。

中国も広い国土に植林を進め、今では世界一人工林があるといわれます。
それでも国民一人当たりの木材量で比較すれば、日本の30%ほどしかありません。
エネルギーや食料と同じように、世界的な木造需要もこれから先、高まるに違いありません。

もしかしたら「Xylo Crisis」(ザイロクライシス:木材危機)が起き、
木材価格が高騰して手に入りにくい時が来るかもしれません。

そのときには、木材の種類と量で、家の資産価値を評価することも考えられます。
自分の家に、どのような木をどれだけ使っているのか、しっかりと知っておきたいものです。

住宅の強度や耐朽性、そしてコストまで大きく関わる木材です。
建設会社の人たちとも、じっくり話してみてはいかがでしょうか。

(おうちのはなし より)

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:建築知識  |    |  2020.02.22

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