家は夏を旨とすべし 2
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。」
吉田兼好『徒然草』の一節です。しかし
「家づくりは冬を旨とすべし」と公言する東京大学准教授の前真之氏。
前准教授は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夏のエアコンの消費電力は多いのでは・・・といぶかる人も多いだろう。
当然のことながら、エネルギー消費を削減する「省エネ」は大事だ。
北海道や東北、北陸といった寒冷地では、確かに暖房のエネルギー消費が多い。
しかし、関東以南では暖房の消費割合は約20%にとどまる。
冷房にいたっては各地域でごく少なく、
四国や九州のような比較的暑い地域でも消費割合は4%足らず。
イメージと現実のギャップが一番大きいのがこの冷房なのである。
逆にエネルギー消費が多いのは、
給湯や照明・家電といった「地味」な用途なのである。
なぜ冷房のエネルギー消費は少なく、給湯や照明・家電は多いのか。
冷房が必要なのは夏の限られた期間だけで、1 日の中での使用時間も短い。
外気が35℃を超えることは滅多になく、室内の温度も25℃より低くはしない
内外の温度差はせいぜい10℃。
必要な時間帯だけスポットでオンすることが多いので、
使用時間も最小限に抑えられている。
一方で、冬は内外の温度差が20℃を超える日が少なくない。
在室時には暖房をつけっぱなしにすることが多いので使用時間も長く、
冷房よりも多くのエネルギーが必要となる。
ただし暖房も冷房と同じく、特定の季節にだけ利用される「季節限定」の用途。
消費するエネルギーにはおのずと上限がある。
これが給湯になると、
夏場でも水を温めずに風呂やシャワーにそのまま使えることはまずないから、
年中エネルギーを使って水を加熱する必要がある。
照明や家電も一年中コンスタントに使われる。
こうした年間を通して消費されるエネルギーこそが、
実はより多くのエネルギーを消費しているのである。
季節ごとの変化にばかり目がいって、年間を通しての「総量」を見過ごしていては、
真の省エネ(省コスト)は達成できない。
夏にちょこっと使うだけの冷房に
目くじらを立てたところで、労多くして幸少なしである。
本当に省エネをしたければ、給湯や照明など年間を通して発生する用途を抑えた上で、
次に暖房の対策に取り組むこと。
冷房ばかりに頭がいって他の用途がおろそかにならぬように
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日経より抜粋
投稿者プロフィール
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2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。
現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。
また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。
古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
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