オール電化

近年環境問題への関心が高まる中、 「オール電化は環境にいい」という表現がしきりとなされ、 消費者に対してイメージが植え付けられています。

電力会社は夜間の発電設備を有効活用する為に、 夜間に安い料金体系を設定していることから、 導入する消費者にとってメリットが感じられるようになっています。

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販売店にとっても100万円近い高価な機器を販売できるので、 売り込みに力が入っており、導入の拡大が続いています。

環境負荷の点でみてみると・・・ もともと電気は、 発電所で6割近くが廃熱として捨てられる為に、 家庭でそのまま熱として利用する用途では効率が悪く環境負荷も大きくなります。

IHクッキングヒーターの効率は90%(銅・アルミ鍋では75%)とされていますが、 発電所の効率を含めて負荷計算をすると従来型ガスコンロと比べて、 1.23倍〜2.49倍の環境負荷となるそうです。

給湯器については、以前のヒーター式電気式温水器に対して、 2002年からエコキュート(ヒートポンプ式電気給湯器)が販売開始され、 ヒートポンプ式は空気の熱を利用してお湯を湧かすために 電気温水器に比べ3〜5倍効率が良く、 地球温暖化対策の主要な対策として国も位置づけています。

性能が十分に出ている場合には、 既存のガス給湯機と比べ0.55〜0.92倍と環境負荷が小さくなりますが、 広島大学の村川教授らの研究によると実働COPは1.82程度であり、 カタログ値よりはるかに小さい値しかでていないことが報告されています。

この値を採用すると、ガス給湯機の0.95倍〜1.60倍と、 指標の取り方によっては環境負荷を増やしてしまう結果となり、 むしろ効率のよいエコジョーズ(潜熱改修型ガス給湯器)のほうが 環境負荷が小さいことが示されました。

さらに現在販売されているのがエコキュートだけでなく効率の悪い電気温水器が、 2ほぼ同数販売されている実態もあり、 初期投資を渋る家庭やマンションなどで一括して設備が導入される場合には 電気温水器が選ばれる事例も少なくないようです。

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投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:建築知識  |    |  2016.10.30

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