熊本の古民家は本当に耐震性はなかったのか?

「となりのトトロ」の舞台となった草壁家。
この「サツキとメイの家」のような
伝統的な木造建築の工法を使った家は
2020年には新築としては建てられなくなります。
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国はエネルギー基準への適合を義務付けます。
一定基準の断熱性能を保持していなければなりません。
その基準としている断熱性能をクリアしようとすれば、
外部建具はアルミまたは樹脂サッシになり、
ペアガラスを使い、壁材には熱伝導率が低い素材を使う必要があります。

開口部が大きくて、木製建具を用いた家は、エネルギーロスが大きく
断熱性能を高めようと思ったら、窓の面積を小さくするのが一番です。
開放感がある縁側があるような家は当然性能を満たすのは不可能です。

なぜ、このような法律が適用されたのか?

東日本大震災をききかけに
耐震性能だけでなくエネルギー効率を高めようという動きが産業全体で起きました。
今振り返れば住宅のあり方を
「原発事故をチャンスと捉え(※)ハウスメーカーが決めてしまった」気がしています。

本伝統の木造建築は、
夏は蒸し暑く、冬は寒い日本独特の気候に対応するために1300年掛けて進化しました。

幾たびの「震災」を乗り越えて先人の知恵で進化してきたのです。
しかし今、この震災を利用して(※)「古民家は危ない」と発信されています
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「消費者に一方的な意見でなく
正確に情報発信して選択して頂ける時代を築きたい」と思います。

縁側のある家は建てられない・・・・
そして
古民家は耐震性がないので壊さなくてはならない・・・・

そんな怖い時代が来ないようにしなきゃなりません!!

※表現はあまりよくないですがお許しください。

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:古民家  |    |  2016.04.23

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