地主の役割

「負動産」が多いと思います。
それを「富動産」の変えていかなきゃなりません。
豊臣秀吉の太閤検地以降
農地は耕す耕作者が所有することになりましたが
個別に年貢を取り立てるのは大変なので
集落ごとに所有者の中から【地主】を選び
集落分の年貢をまとめて納めるようにしました。
数年に一度凶作となるとその分の補填をしなければならず
その時、農地を担保に貸し借りがなされたため
借りがかさんだ耕作者は農地を地主に差し出して地主から借りて
小作人として耕作を続けました。
ですから【地主】が「農地の大所有者」になっていきました。
集落全体が緩やかな大家族となっていきました。
「地主の地」は「土地の地」だけででなく「地域の地」でした。
自給自足の時代だったので
集落の人々が助け合わなければ耕作も出荷もできなかった時代のお話です。
明治維新で400年余り続いた【地主】時代は代わり
富国強兵を推進する為、年貢制度によるコメ経済から貨幣経済への移行し
官(行政機関)と民(営利企業)がすべてを担うことになり、
役割を失った【地主】は消えて土地所有者となりました。
「地域の地」は薄まってきました。150年前のことです。
そして今は、低成長の時代少子高齢化による人口減少。
競争による淘汰が国内の格差を広げるようになり
都会への集中と地域社会の衰退が加速していきました。
「消滅自治体」という言葉が囁かれ
土地や家に縛られていた封建主義から
個人レベルに分解され地域は崩壊に向かっています。
かつて
自給自足の経済と独自の文化を生み出し担ってきたのは
官でも民でもない【地主】でした。
今の時代に合う仕組み。
血族でつながる家族や相続制度に縛られず
地域を担う仲間たちと連携して
土地という地域を経営する仕組みの確立を目指しています。
土地を個人だけの意思で所有していては
永続的な土地経営を実現出来難い時代です。
土地と人をバラバラに孤立させるのでなく
「未来の子ども達の為に地域を元気にしたい」という理念を共有することで
新しい地域を生み出すことが出来ると思います。
【負動産を富動産に】変えていかなきゃなりません。
その主役は「官」ではなく「民」なんだと思います。
「民」が「官」と連携して「時代に合った【地主】」の復権です。
全てが【地主=所有者】である必要はないと考えます。
社会公共性を求める団体が「地域活性化の中心となる」ことが重要です。

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:文化・伝統  |    |  2019.08.13

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