木造住宅のお話し 4

家を建てるのには、木材という資源は欠かせないものです。
あたり前のようにあって当然のものと考えますが、
木材のことは知らないままにすませてしまうことも多いようです。
現代になって木材の扱い方も意外と進化しています。
そして知るほどに魅力的な木材の秘密に迫ってみました。

赤身と白太

一方、構造材としての特質を考えると、逆に心材よりも辺材のほうに高い信頼性があります。
というのは、樹木は年輪を重ねて生長するので、
当然のように中心部分の心材は若いときに育った部分となります。

樹木の生長は若いときほど早いということは、
中心部分の年輪の幅が大きくなっていることでも分かります。
この部分は強度は弱く、しっかりとした強度のある幹を作るのは、ある程度生長してからです。

人工林では植えてから5~10年の間に枝打ちをします。
枝を落とされた樹木は、葉による光合成が減るので、
その分生長が遅くなり年輪が詰まります。
ですから年輪を見れば何年目で枝打ちをされたかが分かります。

高さで考えても同じことで、根元の部分ほど、幼いときの材が多く含まれています。
材木は根元の部分から数えて、
一番玉(元玉)、二番玉~と呼ばれ、二番玉以降が構造材として好まれます。

また、赤身と白太の色の差がはっきりとしているのはスギ材で、
この2色が混在している材を「源平」と呼びます。
源氏の白旗と平家の赤旗になぞらえたもので、日本人らしい呼び名で好まれていますが、
と耐朽性を兼ね備えている財と言うのも好まれる理由となります。

たとえば建設中の木材を見て、単純に「白くてきれいな材だ」などと見るのではなく、
赤身と白太を確認し樹種を知ると、見るのも楽しくなるでしょう。

(おうちのはなし より)

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:建築知識  |    |  2020.02.16

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