今回の震災から考える

我が国は、頻繁に地震の起こる地震大国です。

世界中を震撼させた阪神・淡路大震災では
6,400人を超える尊い命が損なわれましたが、
その犠牲者の実に8割以上が家屋の倒壊等による圧死が原因でした。

それに対して今回の熊本・大分地震の被害者は少なくなりました。
(東北震災では津波の被害が大きかった)

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旧耐震基準の建物(昭和56年6月1日以前に建築確認を受けた建物)、
新旧を問わず耐力壁が少ない等耐震性に不備なものは倒壊の危険があるのです。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査によると、
昭和25年~平成12年5月までに着工された
木造在来工法2階建以下の住宅は92.19%の住宅が
「現行の耐震性」を満たしていないという結果が出ています。

倒壊した木造住宅に共通してみられる4つの弱点は
・壁の量が少なかった
・柱のほぞ抜け対策がされていなかった
・壁のバランスが悪かった
・腐朽や蟻害があった
「耐震診断」だけでは不十分で「建物のインスペクション」をすることをお勧めします。

中古住宅だと建物の性能が分からないままに不動産の取引されている実態があります。
「インスペクション」をすることで、
・建物の劣化状況、建物自体のよしあし、
・おおよその改修工事費用
などが把握できます。

不動産の営業マンではなく
「建築士」が建物を調査することによって
買っていい建物かどうか(購入に値する建物かどうか)、
およそどのぐらいの改修費用がかかるのか、購入する前に判断が出来ます。

「インスペクション」で致命的な欠陥がなく、
さらに具体的に購入検討を続けていく場合は、
「床下調査」「耐震診断」を含む精密な調査を実施することが必要です。

投稿者プロフィール

井上幸一
井上幸一
2001年 持続可能な循環型建築社会の創造を目指し古材FC事業を立ち上げ全国展開を開始する。
古材の利活用から古民家を地域の宝と捉え古民家の利活用をおこなうための事業として古民家ネットワークを創設。
「古民家鑑定士」「伝統再築士」を始めとする資格を創設し全国各地で古民家を取り扱う人材育成に力を入れ、古民家鑑定士は全国に1万人を超す。

現在は、古民家の安心と安全を担保するために基準を創り、ソフト面とハード面を兼ね備え全国各地で講演活動を実施している。

また本年、「内閣官房歴史的資源を活用した観光のまちづくり専門家会議専門員」として全国各地の地方自治体のコンサルティング活動も行う。

古民家ツーリズム推進協議会事務局長として、全国で古民家ツーリズムの推進もおこなっている。
category:建築知識  |    |  2016.05.20

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