本当のこと

東南アジアの友人に地元で採れたミカンを食べながら談笑している時でした。

あなたの国でもこんなミカンは採れる?と質問すると「あるけど、自分の国のには種が入っています。」と答えてくれた。

へぇ、こんな小さいミカンでも種があるの?

すると隣にいた方が、「昔は種があったんだよね。」と話される。


私がいつも食べていた当たり前に種のないミカンは、実は本当は種のあるはずのミカンでした。

品種改良などの研究の成果、私たちは面倒な種を無視して美味しく味わうことができるようになったようです。

友人は、驚いた顔をして”種がないのにどうやってミカンが成るのだろう”といつも疑問に思っていたと言います。

…本当、種があるはずですよね。

生まれた時から当たり前に種のないミカンを食べていて、疑問にも思わなかったことでした。

それしか知らなければ、それが当然と思うものです。だけど、考えてみれば納得。

当たり前であるはずの自然の理が、人の中で違う当たり前に変わるってこともあるんだと驚いてしまいました。

もしかしたら、私たちが伝える「木の本当のこと」や、先人が培い残してくれた「知恵や技術」も、もう知らない人の方が多くなっていたり、だから違う当たり前に流されていっているのかもしれません。

このまま気づかないで進んでいけば、今「古民家はいいね」といっていろんな人達が住むようになっていっても、将来その古民家は古民家ではなくなってしまっていることも考えられます。本当じゃないことは、何か寂しく感じます。

誰かや未来のために選ぶさまざまなこと…本来のことを知っておくということは、思っている以上に大切なことなんじゃないかと感じています。

投稿者プロフィール

山城京子
2015年より住育学校福岡第一校を開講。家を建てよう・家を持ちたいと思う消費者に住まいの「本当のコト」を伝えている。また住育コンシェルジュとして、住まい手の求める造り手との架け橋を行なっている。
昨今では、空き家の利活用や発生抑制に向けて、地域でセミナーやファシリティトを行い、住教育の推進に力を入れて活動中。
一般社団法人住教育推進機構福岡支部長
一般社団法人全国古民家再生協会福岡第一支部会員
古民家鑑定士
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
category:住教育  |    |  2021.01.19

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