未来のためを想えば

毎年10月は、「住生活月間」となっています。各地で住生活に関する催しなど啓発活動が行われています。

国の住生活基本計画において、「住教育の推進」がこれからの日本の住生活において重要視されるまでになりました。

住育・住教育とは、そもそもどういうものなんでしょうか…

食育においては、随分認知がなされてきたように思います。

私たちは、栄養について詳しくは知らなくとも、無農薬・国産・自然のもの・地産地消など食物や食品として単純に選びたいものと認識しています。

住まいにおいても同様で、工業製品より自然乾燥した国産の地域材を選びたいと本当は思っています。

しかし実際、日本の「住」においての認識は非常に低いことを感じます。

私たちは食べ物によって栄養を摂取して日々生きていることはもちろん、目で見て、香って、美味しくいただくこと。また調理をする、されることで交わる愛情。食物連鎖や栽培、飼育から学ぶ食物への有り難み など「食」は体と心を作るものであることを知っています。

同じようにほとんどの人々に住まいがあって、生活があれば、その日々は私たちを作っていると言えます。住まう建物や住まう場所によって体に取り入れる空気や運動量は違いますし、共に暮らす家族構成や家族の在り方、地域との関係など住まう環境ひとつとってもさまざまで、その中で積み重ねた毎日が人を作り、人生を作るとも考えられます。「住」も体を作り、心を作るものです。

そうやって育った人が社会を作るのですから、未来の国を形成するものだとも言えます。

以前は、ひとつの家に多世代が共に暮らし、地域活動も今より盛んで、自然と共生した暮らしの中で住教育が息づいていました。核家族になり、共働きやシンママ・シンパパも増え、自然が遠のいた便利な社会で、これからは「住教育」という分野を改めて学ぶ必要がある時代になったということでしょう。

しかし、住教育は机上では理解しにくいものだと思います。やはり「住教育」は、家の中、社会の中にこそあるもので親から子へ子から孫へ愛情とともに伝えていくものだと思います。

ここで住生活を顧み、一人一人が未来のために想うことから住教育の推進となるのではないでしょうか。

住生活月間のさまざまな催しに触れてみてください。

投稿者プロフィール

山城京子
2015年より住育学校福岡第一校を開講。家を建てよう・家を持ちたいと思う消費者に住まいの「本当のコト」を伝えている。また住育コンシェルジュとして、住まい手の求める造り手との架け橋を行なっている。
昨今では、空き家の利活用や発生抑制に向けて、地域でセミナーやファシリティトを行い、住教育の推進に力を入れて活動中。
一般社団法人住教育推進機構福岡支部長
一般社団法人全国古民家再生協会福岡第一支部会員
古民家鑑定士
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
category:住教育  |    |  2021.10.26

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