始まりは、インスペクション

「インスペクション」という言葉が聞かれるようになりました。
辞書では、視察、検査、点検、監視などとあります。

欧米では、中古住宅を売買したり、賃借する際には欠かせないものだそうです。
当然といえば当然。

しかしながら日本の家の価値はというと、約30年もすれば資産価値はないと言われます。
だから、どの家も築年数で一緒なのか?といったら疑問ですよね。
古民家に見る大きな柱や梁、職人さんの技術、経年を重ねた材の質や風合い、歴史や文化を思えば、価値がないとは言えません。

インスペクションをすることで、コンディションが明確になるほか、これからの保全計画が立てられたり、造りや家歴を知ることでその文化的な評価を得て、そしてまた次の住まい手に残すことができます。

売買や賃借をするためだけではありません。
なぜ住みたいと思うのか、なぜ残したいと思うのか、なぜ大切に受け継がれるのか…
住まいとはかけがえのないものだからです。
家族の想いや記憶が詰まっています。
家の経年変化は、そういったものに寄り添って私たちに表しています。
これからも大切に住まい続けるためにもインスペクションは必要です。

今住んでいる家、これから住む家、自分の家の価値を知り、家族と共に育てていく。
インスペクションをすることで家の価値を見出し、そして安心できる住まいとなるのです。
インスペクションは、これからの家づくりのスタートとなるでしょう。

投稿者プロフィール

山城京子
2015年より住育学校福岡第一校を開講。家を建てよう・家を持ちたいと思う消費者に住まいの「本当のコト」を伝えている。また住育コンシェルジュとして、住まい手の求める造り手との架け橋を行なっている。
昨今では、空き家の利活用や発生抑制に向けて、地域でセミナーやファシリティトを行い、住教育の推進に力を入れて活動中。
一般社団法人住教育推進機構福岡支部長
一般社団法人全国古民家再生協会福岡第一支部会員
古民家鑑定士
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
category:住教育  |    |  2020.04.19

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