私たちの母屋

私たちと住まいの関係は、面白いものです。

家は、まるで空気のように目の前にあって、見えないものだったりします。
家は、雨風から凌げますが、それだけの箱ではありません。安心して休める所であったり、様々な経験をして帰り着く所。
それぞれにホッとできる、落ち着ける、そのような場所であることを願う所です。
そして、毎日の「主」となる暮らしを送るその家には、家族がいます。家族が共に人生を送る場所であり、心を育む場所と言えます。

私たちの住む「その家のつくり」について考えたことはありますか。
間取りをみてください。個人の部屋はあるでしょうか。それとも寝食を共にする間取りであったり、家族が川の字で休むような開け放たれた間取りでしょうか。
そこで暮らす毎日は、それぞれに家族のあり方を作るような気がしませんか。

「その家の材料」を考えたことはありますか。
綺麗なクロス貼りの壁でしょうか。昔ながらの土壁や漆喰の壁でしょうか。
また木で出来ていますか。それともコンクリートでしょうか。
そこに流れる空気や湿度や匂いや雰囲気を、私たちの体の中に取り込んで、日々を送っていると思いませんか。
そして、そこで行われる日常の動作は、毎日の習慣になって、私たちの身体を作っていると思いませんか。

では、その家は、いつ誰が建てたのでしょうか。どういった想いで建てられたか、知っていますか。
もしも、育ったその家がなくなってしまったら、どうでしょうか…

誰もが「家」に、何気なく住まうものです。
しかし、家は毎日そこにあって、私たちに大きく影響しています。
私たちを育んでいる「母屋」なのです。

投稿者プロフィール

山城京子
2015年より住育学校福岡第一校を開講。家を建てよう・家を持ちたいと思う消費者に住まいの「本当のコト」を伝えている。また住育コンシェルジュとして、住まい手の求める造り手との架け橋を行なっている。
昨今では、空き家の利活用や発生抑制に向けて、地域でセミナーやファシリティトを行い、住教育の推進に力を入れて活動中。
一般社団法人住教育推進機構福岡支部長
一般社団法人全国古民家再生協会福岡第一支部会員
古民家鑑定士
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
category:住教育,暮らしの知恵,環境  |    |  2020.08.11

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