米を食し、藁に住む

い草の香りが安心を運びます。

畳の上で、ホッと和むのはなぜでしょう。
本来の畳は、30キロもの稲藁を重ねて圧縮した畳床とい草を織った畳表で出来ています。 
「本来の」とあげたのは、今は発泡スチロールや断熱ボード、防虫シート、ビニールシートなどに中国産のい草で織った畳表が貼られているものが「一般的な畳」だからです。

和室や畳スペースのある家を建て、畳を入れるとなったら、何を言うまでもなくこのタタミが敷かれる。
私たちは、本当の畳の心地よさを実は知らないのです。

日本に畳の文化があるのは、実は弥生時代に遡ってまで必然と言えます。
日本は、温暖湿潤気候によって稲作に適した風土を持っているからです。
米を食し、藁を資源として藁葺き屋根や畳など住に生かされてきました。

稲藁は、その気候風土のものとして屋根材や畳の材料に適材で、快適な住生活のために発展してきたわけですが、現在の畳は、形ばかりは畳ですが、工業製品や気候風土の違う国のい草が使われ、畳の本質とはなにかずれているようです。
当然、足触りや座り心地は全く違います。

家族が体を休める畳、子どもたちが遊び回る畳、、、直に座ったり、横になったり、足元に近い姿勢や背丈の低い子どもたちに防虫シートは無害とは言えません。
もちろん、カビやダニもそうです。
特に、昨今では高気密住宅化して、風通しや空気の入れ替わる量は低くなっています。
その分、室内の自然な調湿も鈍くなっていて、カビやダニの発生の原因となってしまいます。

家族の健康的な生活に大事なことは、選択するものをきちんと知り、きちんと使うことだと思います。
「きちんと使う」なんて、きちんと選んだものであれば、自然にきちんと使うことができるものなんです。

日本が生んだ畳文化。
そこには、家族の和む風景があります。
次の世代の家族にも、心休まる和みの室(部屋)が続くように、本来の畳に触れてみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

山城京子
2015年より住育学校福岡第一校を開講。家を建てよう・家を持ちたいと思う消費者に住まいの「本当のコト」を伝えている。また住育コンシェルジュとして、住まい手の求める造り手との架け橋を行なっている。
昨今では、空き家の利活用や発生抑制に向けて、地域でセミナーやファシリティトを行い、住教育の推進に力を入れて活動中。
一般社団法人住教育推進機構福岡支部長
一般社団法人全国古民家再生協会福岡第一支部会員
古民家鑑定士
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
category:住教育,文化・伝統,暮らしの知恵,環境  |    |  2020.05.04

pagetop