自然がくれたもの

古民家などにみられる土壁、各地域によって使用する土は異なりますが、
関東では主に荒木田土が使われています。
荒木田土とは、水田や河川などの下層でみられる粘土質の土のことです。

土壁は、荒壁土と中塗り土の二つの工程を経て土壁となります。
荒壁土は、土に藁を入れたものです。
土に藁を入れて発酵させていきます。
発酵が進むと藁は溶けるように分解され、形がなくなっていきます。
そしたらまた新しい藁を入れ、練り置きしていきます。
その繰り返しを三か月程行います(時期によってことなります)
一定期間置くことで、藁の腐食などの発酵により土の粘りが強くなります。
因みに、粘りが強くなるとアクも出てきます。塗る途中に柱などに付いてしまうと、その付着した箇所は黒くなってしまいます。養生をするなどの注意が必要です。
中塗り土は、土に川砂と藁すさをを足したものです。
藁すさのすさとは、短く切った繊維のことを言います。

土壁は、土の粘りの性質と藁の繊維を利用した自然からの集合された素材と言えるでしょう。
土壁には、防音・防火・防湿そして、電磁波をカットするなどの効果があります。
日本酒や醤油づくりも土蔵で行っているところもまだ多くありますね。
土は農作物を作るだけではなく人の住まいや生活にも役立つ、自然からの贈り物なのです。


投稿者プロフィール

金子和
金子和
一般社団法人住教育推進機構 神奈川県支部長
住育学校 横浜金沢校 学校長
category:伝統素材,住教育,古民家  |    |  2020.05.22

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